石川県金沢産ルビーロマン視察
宝石に一番近い葡萄 ルビーロマン
2014年9月3日ルビーロマンの視察へ行ってきました。
今回お世話になった、市場関係者様、生産者の皆様ありがとうございました。
さて、ルビーロマンは2014年の初セリでは史上最高値の55万円を記録し、年々その名前も知られるようになってきました。
ルビーロマンは、厳選された400粒の種から実際にぶどうを育て果実を採取。400本から4本を選び、更に「味」「色」「房」「粒の大きさ」などの品質、栽培のしやすさなどを厳選した1本がルビーロマンとなった。ルビーロマンは、本年で誕生から販売が始まり僅か7年である。通常は、出荷されるまでに10年から15年の歳月がかかると言われる。
これには奇跡があったのか?・・・・・奇跡などない。これには石川県の販売戦略と、生産者の通常では考えられない努力と、熱い思いが結実した成果なのです。
今回は、生産現場である圃場を二か所視察してきました、それぞれの圃場は、全く正反対でした。それは写真を見ても分かる通り、地面の様子だった。1つ目の生産者の圃場は、青々と、生命力豊かに雑草が生えている。この草が、水分や養分を吸収する事で、雑草や、ぶどう樹間の水分・養分獲得競争による根の発達を促すという考え方。
もう一つの圃場は、ほとんど草が生えておらず、地面がむき出し。これは生産者が土と向き合い、土の状態を見ながら、養分、水分の調節する事で、強いぶどう樹を育てる考え方。
なぜ、こんなに異なるのか。
それは、ルビーロマンの品質基準が非常に高く、全体の生産量のうち、ルビーロマンとしての認定検査合格率は全体のおよそ3割程度、約7割が基準をクリアできない厳しい現実にあるのだ。それ故に、ルビーロマンの称号を獲得するために生産者が考え、試行錯誤を重ね、栽培法の確立の為の模索はこれからも続いていくだろう。
一般的にぶどうは粒を大きくすると、どうしても着色が悪い様である。実際に結実しているぶどうを見ても、どれも大きく立派に見えるが、現実は厳しい基準が待ち構えている。
粒の大きさ、重さ、色目と審査し合格・不合格が決まる。基準に満たない物は、容赦なく房から切り落とされる。その光景は生産者の方からすれば、手塩にかけた我が子を手許から引き離されるような辛さではないだろうか・・・・・
だが、生産者はそれでも、毎日情熱をもって、このぶどうと対峙しながら、最優の栽培法確立を目指し、努力を続けている。
ルビーロマンの抱える問題は、これだけではない。通常のぶどうには大抵ブルームと言われる糖質がぶどうの表面全体に現れる。このブルームがしっかりついている方が、鮮度が良く、消費者に購入される際の目安となる。しかし、ルビーロマンにはブルームは無い。ブルームの無いぶどうが意味する事とは、「雨水や害虫・病気に弱い」。病気や害虫に弱いと言う事は、商品価値の無いぶどうになると言う事。重ねて言えば、手間が非常に掛かるのである。とても悩ましい問題である。また、栽培方法にしても、製品率を上げる方法の確立はまだされておらず、現在でも手探りの状態だ。その証拠に、2014年9月3日現在で最高等級のプレミアムは1房も出ていない。他の果物で言う特秀レベルである。
生産者は言う。1房1万円でも採算が合わないと・・・・。
これも問題である。手間暇がかかり、製品率が悪く、経費はかかる。1房のぶどうが高価なのは分かるが、数万円ともなれば、高くて買い手がなかなか居なく、生産者の自己満足になってしまう。
毎年、生産量は増えても、価格が下がる訳でもなく、名前先行で売れてしまったルビーロマンの宿命なのであろうか・・・・・
未知のぶどう栽培に、情熱をかけた生産者の執念を、垣間見た気がして胸が熱くなった・・・・
これからも、生産者の方にお会いして、経験や苦労を見聞きし、販売という立場から応援をつづけたい・・・・